NO! 有事立法23区ネットのご紹介
<本会の発足趣旨>
ここ数年、日本は驚くべき速度で右傾化が進んでいます。教育面では国旗・国歌法の制定に次ぐ教科書問題、「ゆとり教育」の制度化、さらに教育基本法も改正の視野に入っています。情報・通信に関する分野では、通信傍受法の制定を経て、個人情報保護法案・メディア規制法案の上程へと続きます。そして今夏、もともと国民総背番号制といわれた「住民基本台帳ネットワークシステム」(住基ネット)の制度化が実施されました。
軍事面では自衛隊の軍事行動を認知する憲法改正論まで浮上する始末。これらは国民生活全般に亘る多面的かつ、露骨な自由権の束縛ですが、こうした傾向がわずか数年の間に立て続けに打ち出されてくるなど、かつては考えられないことでした。これは日本という国の在り方および、私たち国民のライフスタイルを全面的に国家権力の統制下に収め、日本帝国主義復活へのシナリオに組み込んでいくものでしかありません。
これらの背景には1963年の自衛隊制服組による「三矢作戦」を端緒に、1978年、時の総理・福田赳夫氏が政府レベルの課題として、防衛庁に「有事法制」の研究を命じるという経緯(詳細は、
「私たちは今、何をすべきか?有事法制と国家の危い関係」)があります。
こうした有事法制上程への地ならしが着々と行われ、いよいよ本年4月16日の閣議決定を経て、「有事法制関連3法案」が審議の俎上に上り、56年の歴史を持つ民主国家は本格的な日本帝国主義復活へとなだれ込むのです。
小泉政権はこの時点ですでに「テロ特措法」を制定し、アメリカの報復戦争に加担していました。本年3月末現在、91億円もの莫大な支援金が国民の税金から米軍に投入され、日本はアフガニスタン攻撃の実質的な参戦国になっていたのです。そこへ前述したように、完全な戦争解禁を目論む「有事法制関連3法案」の登場ですから、戦争放棄を平和への命題にする私たちとしては、こうした政策を黙認できるはずがありません。「有事法」成立を阻もうという意気に燃える首都圏の有志が集まり、去る5月4日、「NO!有事立法23区ネット」の発足に漕ぎ着けました。
ちなみに、代表に着任した伊藤は本年3月、地元大田区で、“大田区議会から日本政府へ 「テロ根絶・アフガニスタンへの軍事行動及び、自衛隊の戦争加担」即時中止を求める意見書提出依頼に関する陳情”(提出団体・世界の平和と子どもの教育を考える大田実行委員会)を圧倒的多数の賛成で採択させた実績を買われ、自らの問題意識ともあいまって、この任に着いた経緯があります。
<本会の運動方針>
「NO! 有事立法23区ネット」の運動方針は、東京23区の自治体に「有事法制関連3法案」の問題点を文書で示し、廃案要望、または慎重審議を求める意見書を政府に提出してもらうよう働らきかける。あるいは質問書形式にして、回答を求めるなど、市民運動と地方自治体の連携を目指すということで方向性を定め、8地域の参加メンバーと協議のうえ、地元主体で各自治体にアクションすることを前提に行動を開始しました。参加洩れの地域には、「23区ネット」から、統一文書を提出し、回答を求めるという方法をとっています。(詳細・結果については、別途UPします)
<国会活動>
そうした過程で、本法案の廃案を求めるには国会議員への働らきかけは欠かせないと考え、同じ路線で活動する首都圏内外の団体ともタイアップして、衆議院議員を中心に継続的なアクションを起こし、有事法の廃案を要請してきました。特に同法の成立・不成立のカギを握る民主党には粘り強くアタックし、野党としての責務を果たして欲しいなど、エネルギッシュな説得を続けてきた経緯があります。
<防衛庁問題>
今回、情報を公開する防衛庁追及行動は、当初、本会の姉妹組織として位置づく「大田実行委員会」(略称)の事業として取り組み始めた運動ですが、活動上の効率化を図り、本会にジョイントさせた経緯があります。何しろ専門的な知識もない代表が自らの問題意識と感性の赴くまま、納得のいかないところに切り込んでいくというスタイルを執っていますので、どこかで壁にぶつかったり、ほころびがでると思うのですが、アメリカの覇権主義に乗じたわが国の国策に異を唱え、「日本を戦争のできる国にしてはいけない」「殺すのもいや、殺されるのもいや」と真剣に考えるメンバーとの運命共同体で、これまで無難に運動を続けてこられました。これからも、有事法の成立と、自衛隊の政治介入(シビリアンコントロールの破壊)を許さず、民主国家の基本たるべき「国民主権」を命題に、市民オンブズとしての役割りを全うしていきたいと、メンバー一同、決意を新たにしているところです。皆様方のご支援、ご協力をお願い申し上げます。
2002年8月吉日
「NO! 有事立法23区ネット」
代表 伊藤 瀧子