「有事法制関連三法案」成立に反対し,政府に同法の撤回を求める再要請

民主党・衆議院議員各位様                2002年5月28日
「有事法制関連三法案」成立に反対し,政府に同法の撤回を求める再要請

  いつも国政のためにご努力頂きありがとうございます。さて,早速本論に入らせて頂きますが、皆様方は5月25日付けの新聞報道をご覧になられましたでしょうか。鮮やかなカラー写真入りで、「有事法制反対」集会に4万人、“新宿の明治公園“(朝日新聞5月25日付け朝刊・東京新聞はモノクロで掲載)と大きく報じられています。この集会は宗教関係者や陸・海・空労組など20団体の呼び掛けで行われ、全国各地から馳せ参じた人々で新宿・明治公園が埋め尽くされたというものです。夕刻、にわか雨が降りましたが、人々は濡れた地面にしゃがみ込み、なかなか立ち上がろうともしないで、5,24集会の目玉行動(外務省・全国知事会・防衛庁申し入れ等)及び、各地の取り組み報告に耳を傾けていました。

政府が今国会で強行に押し進めようとする「有事法制3法案」について、わが党の統一見解と私の地元公明議員団が提出してきた「公明新聞」主張欄(2002年5月10日付け)の切り抜きでは、こういう論陣を張っています。

「これまで政府内の研究だけに限られていた有事法制が、初めて具体的な政策課題として国民の前で議論されている。国の緊急事態に対処する体制をどう構築するか_この有事法制の問題は本来、安全保障政策の基本が問われる最重要課題だ」と前置きし、にも関わらず、これまで議論されなかったのはなぜか、自衛隊の違憲・合憲をめぐる国会論争に原因があるとし、しかし、いまは違うと見解を述べる。いわゆる90年代以降の日米安保や新ガイドライン・周辺事態法の整備などにより、国民の安全保障に対する考え方も、かつての不毛な議論から確実に離れていったと「有事法制3法案」成立の時期到来を匂わせる。そして本法案の制定をあたかも国民が歓迎しているかのごとき論陣を展開し、さらにこう続ける。「今回の武力攻撃事態関連3法案(武力攻撃事態法案、安全保障会議設置法改正案、自衛隊法改正案)の国会審議に対しても、国民は冷静に見守っている」。

果たして主張欄の述べるとおり、国民は冷静に見守っているのか。答えは至って明快です。主張欄の見解が正しければ、今回のように大規模な有事法制反対の大集会が首都で開かれる必要などなかったのです。集まった人々は口々に訴えていました。「平和憲法を生かす外交こそ、日本の備えだ」「今の国会こそ、まさに有事」。また大会宣言はこう締めくくります。「政府に対し,直ちに有事法制整備を断念して,法案を廃案にするよう強く求める」。

色とりどりののぼり旗や「STOP有事法制」の横断幕を掲げた群集が明治公園から青山、赤坂、国会へと続く約5キロの道程を、「有事法制、いーらない!」「戦争、やーめろっ!」「アフガン空爆、中止しろ!」「戦争立法廃案だっ!」「強行採決許すな、許すな!」とリズムに合わせ、声を張り上げながらデモ行進します。メンバーに加わっている中学生や高校生・大学生たちもマイクを握って有事法制反対を唱える。彼らわずか3,4ヶ月前、自分たちの育ち行く環境が一転、戦争と向き合うことになろうなど、考えたことがあったのでしょうか。

私の小学2年生になる孫は、自分の住む地域の区長や中谷防衛庁長官(首相事務所は受け取り拒否)にこんな手紙を書きました。

「せんそうはいやです。日本がせんそうをしないようにしてください。わたしたちは、せかいじゅうのみんなとなかよくしたいです」
なまえ 〇〇 〇〇 7さい

 国民は今回の法案審議を冷静に見守っているどころか、耳をそばだて、目を見開き、新聞紙面やテレビ画面に釘付けです。関心の薄い人々はメディアの取り上げ方の問題。情報不足も原因の一つです。国会審議の中継も少ない。審議時間は安保や周辺事態法と比べて極端に少なく36時間程度。まさに拙速です。しかし私たちは誤魔化されません。憎まっれ子有事法案は、わが国の憲法9条を踏みにじり、戦争のできる国へと衣替えする戦後最大の悪法だということを知っているのです。私たち国民は決して愚民ではありません。戦争の加害者にも被害者にもなりたくない、平和な日本を築き、国際協力していくことこそ、日本が有事から免れる唯一の方法論だということを、世界第二次大戦の教訓から、しっかり心得ているのです。

政府は国の舵取りを誤らないで下さい。国会という建物の中に入って感じることは、ここで、この空間で,わが国のすべての国策が定められているのだという怖さです。権力を手にした人が国のあるべき姿を冷静に描き、努力するならば、国家は正しい方向へと向かうでしょう。しかし独立国家としての主体性と自立性を欠き、アメリカという巨大大国の顔色を窺いながら国の方向性を定めようとする支配者がいる限り、国民は犠牲を強いられるのです。昨年の「テロ特措法」は、自衛隊の海外派兵、アメリカへの後方支援を可能にしました。そして今度は有事法制3法案の成立を図ろうとしているのです。

いま小泉政権の支持率は36パーセント台に落ち込んでいます。30パーセントになると政権の末期症状です。ここで小泉首相にしっかり耳を傾けて頂きたい。いまちまたで小泉首相は独裁政権ではなく、独裁者だといわれています。ヒトラーと同列に扱われているのです。

なぜこんな噂が流れるのでしょうか。かつての自民党は政策立案の際、野党との合意を図ることに腐心してきたといわれています。しかし現政権は野党との合意を図るどころか、生じた溝を埋めようともせず、与党のみで突っ走ろうとしたり、目白押しの重要法案も国民不在の審議を進め、相次ぐ議員の不祥事には「本人が決めるでしょう」などと無責任な発言を繰り返す。小泉首相は国民の支持がなくて、政権の座を維持できるとお思いでしょうか。

民主党の皆さん。立ち上がってください。戦争国家法案としての有事法制3法案を廃案に追い込むことができるか、否かは皆様方の身の処し方一つで決まります。民主党の存在意義は現政権に加担することではありません。国民の側に立った冷静な判断力の下、日本がどうあるべきかという適切な方向性を示す政党でなければなりません。国民は見ています。小泉首相と相携えて日本を武力闘争の渦中に投げ込まないでください。小泉首相は国会審議の過程で、国民の生命・財産を守るのが「政治の要諦」とし、平和な時にこそ有事に備え、立法化すべきと力説しますが、有事における国民の自由と権利の保障については明らかにしません。反面、すべての国民には協力義務が課せられ、労働力・物資の供給・土地・家屋の提供等、国民生活の全分野に亘り、規制と罰則が付加されます。「国民の自由と権利」の制限対象には「言論及び、集会の自由」まで含むとのことです。

5,24の集会をみてもご想像頂けるように、本法案は決して国民的支持を受けているわけではありません。かつての国家総動員法に順ずる本法案の立法化に反対する国民の声が日増しに強まっています。また地方都市の首長・県知事・町村議会等が疑問や不賛成の意志表示、反対の決議などを挙げています。民主党の皆さん、どうぞ本法案の廃案に立ち上がってください。私たちは政治の主権者として、本法案の廃案を求め、民主党の皆様方に訴えます。

NO!有事立法23区ネット 代表 
伊藤 瀧子       
(都合により住所・連絡先割愛)

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