中谷防衛庁長官への質問状の前文
2002年6月12日
拝啓
中谷防衛庁長官様。
連日の重責、ご苦労さまに存じます。私は中谷防衛庁長官とは同郷の、高知県出身者でございます。自由民権運動発祥の地を生まれ故郷に持つ者同士として、中谷長官には少なからず身近なものを感じておりました。一度ぜひお目にかかりたいと希望しながら果たせず、本日に至りました。
さて、本日は私どもが最も不安を抱いておりますシビリアンコントロールの問題に関し、何点か質問させて頂きます。
この問題は上記日にちに訪庁致しました際、質問させて頂きましたが、答弁できる担当者の用意がないとのことで、一切ご回答を頂くことはできませんでした。そこで適切な部署に上げて頂くことを条件に必要資料をコピーし、後日お電話にて答弁を頂くということになっておりましたが、5月30日、防衛庁広報課・海和干城様よりご連絡頂きました内容においては、残念ながら私どもの要求を満たすものではございませんでした。そこで再要請をお伝えし、改めて今回の文書提出という形をとらせて頂くことになった次第です。
<これまでの経緯>
さて、ここで、これまでの経緯について概略述べさせて頂きます。
例えば「武力事態攻撃法」にしても、有事の判断が二転三転、肝心の政府内でさえ答弁が食い違ったり、曖昧だったり、国民の説得を勝ち取る内容にはなっていません。
しかしながら、その矢先の5月7日、テレビ放映中の有事法制特別委員会を傍聴中、さらに驚くべき事態の展開を迎えます。民主党の岡田克也議員より、この問題に関する追及を受けた小泉首相と中谷防衛庁長官が、「朝日の記事は事実ではない」と真っ向から否定、特に中谷防衛庁長官は「朝日に申し入れている」と、駄目押しの発言を行いました。一瞬、唖然とした私は、即座に朝日新聞社に対して、手書きの文書(関係文書一括谷内裕氏に提出済み)をFAX送信し,「イージス艦」報道は事実か否か、事実ならば政府に対していかなる対応をとるのか、速やかなる返答を賜りたいと、申し入れたのです。
結果、朝日新聞社からは、「5月6日付けイージス艦派遣記事について、記事の真偽をおたずねですが、記事は十分な取材に基いて掲載しました」(原文のまま)との公文書を入手、いずれが事実か計りかねるという局面を迎えました。
このあたりは5月24日訪庁の際、話し合いの場でご説明申し上げましたとおりですが、いざ本論に入ろうと致しましても、この問題に答弁できる担当者がここにはいないとして、回答が頂けず、やむを得ず事実を証明する資料をコピーし、担当部署に上げて頂くという形をとったわけです。
さて、一週間後の5月30日、冒頭で述べましたように、海和干城氏より電話が入り、「朝日の報道は事実ではない」とする小泉首相および、中谷防衛庁長官の発言内容を肯定する答弁を頂きました。これでは話になりません。真実は一つ、国を信じるか、マスコミを信じるか。今まさに有事法制という国の在り方自体を変えようとの重大法案が審議されている最中、国の根本が信じられない事態が生じた国民の立場を冷静にご理解下さい。
今回、防衛庁の情報開示に関するリスト問題も明らかになり、当局としては厳しいお立場にあるとは存じますが、自衛隊によるシビリアンコントロールという、憲法の基本に触れる問題であるだけに、私たち国民としては、なおざりにできない問題であるというのが偽らざる心境です。どうぞ私どもの質問に対し、主権在民・民主主義国家を大前提に、誠実且つ、虚心坦懐に本問題に関するご回答を頂きたく、お願い申上げる次第でございます。
以上
NO! 有事立法23区ネット
代表 伊藤 瀧子
住所 略
TEL/FAX 略
|