大田区議会議員各位様
陳情採択のお礼と御挨拶


拝啓

 地球温暖化のせいか、今年の桜は例年より早く咲き終わりました。振り返って見れば、大田区議会本会議が開かれた三月二十六日頃がちょうど見頃ではなかったのでしょうか。

しかし、あの頃、私たちは桜の花を愛でる余裕もなく、いかに世界の平和に寄与できるのかということで、心身共に虜にされていたように思います。諸先生方は尚更のこと、様々な重要課題を抱え、花の風情を楽しむ心境には至らなかったのではないかと御推察申し上げるところでございます。

そうした中で、今回の私どもの陳情 “大田区議会から日本政府へ 「テロ根絶・アフガニスタンへの軍事行動及び、自衛隊の戦争加担」即時中止を求める意見書提出依頼に関する陳情”が審議され、圧倒的多数の御支持を得て採択されましたことは、誠に喜ばしく、感謝にたえません。私どもと致しましては、今回の陳情が必ずしもすべての議員諸氏の共鳴を得られたものではなかったということを認識しておりますので、感慨も一入でございます。そして、これは諸先生方の平和に対する御見識の高さと、勇気ある決断に他ならないと、改めて敬意を表しているところでございます。

こうした大田区議会の大英断は全国的にも報道・評価の対象にされ、大田区は一躍脚光を浴びることになりました。大田区民としてこんなうれしいことはございません。いま各地で大田の運動に倣おうとの機運が高まり、私どもの下には全国各地からいろいろな問い合わせや、協力が求められております。

特に今回は「有事法制関連三法案」が今国会で可決されようとしているところでもあり、戦後の日本の非武装・平和政策に代わる新たな国策を示す上で、一大転換期を迎えたと言わざるをえません。ましてやこの法案が、「備えあれば憂いなし」の大義名分の下、日本が戦争のできる国への脱皮を図り、地方自治体に対する協力義務や、国民への公権力発揮等に関し、総理大臣に全権を委ねるという方向で纏められているため、私どもは大いなる危惧を抱かざるをえません。つまり、こうしたことは、地方自治体の在り方にまで大きく踏み込む性質のものであり、翻ってみれば、これまで推し進められてきた地方分権の根幹さえ揺るがせかねない事態に立ち至るのは必至だからです。それと同時に、国民一人ひとりの思想や選択権の自由にまで公権力が及んでくるという危険性も孕んでいるのです。私どもと致しましては今こそ諸先生方が、大田区が掲げている平和都市宣言に則り、それ相応の方針をお示し頂けるよう願ってやみません。

諸般の事情でお礼状が遅くなりましたことをお詫び申し上げながら、陳情採択のお礼と、御挨拶に代えさせて頂きます。どうも有難うございました。
                                    草々
 二〇〇二年四月二十八日                          

      陳情者 世界の平和と子どもの教育を考える大田実行委員会
           代表 伊藤 瀧子

呼びかけ団体 大田ピースフォーラム
       代表 竹内 仁
       (都合により住所・連絡先割愛)

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