イージス艦問題関連、バーレーン協議に関する 防衛庁長官への質問状
2002年7月2日
提出者
防衛庁長官 中谷 元様住所 略 NO! 有事立法23区ネット 代表 伊藤 瀧子 TEL/FAX 略
前略 2002年7月2日
今国会も延長国会に入り、ご多忙のことと存じます。さて前回に引き続きまして、シビリアンコントロール(文民統制)関連の質問をさせて頂きます。この問題は、軍隊が政治に介入することを憲法違反とする私たち国民に取りましては、由々しき問題です。戦後56年、世界に誇ってきた日本国憲法は、今や危機に瀕していると言わざるをえません。
NO! 有事立法23区ネット
イージス艦問題関連、バーレーン協議に関する質問状
『朝日新聞』6月16日付けの「海自艦、米が戦術指揮」の記事に関連して、順次ご質問いたします。
1. バーレーン協議について、お尋ねします。昨年11月25日に行われたとのことですが、ご存知ですか。具体的にお答えください。
2. この会議自体、派遣チームの防衛庁海上幕僚監部から、防衛庁内局に報告がありましたか。具体的にお答えください。
3. あったとすれば、防衛庁内局はバーレーン協議の内容について、どの程度ご存知ですか。具体的にお答えください。
4. この会議では、防衛庁海上幕僚監部の派遣チームが昨年11月25日、バーレーンの米中央第五艦隊司令部のおいて、当時のムアー司令官に会い、インド洋における対テロ戦争の補給作戦で海上自衛隊が米海軍の「戦術指揮統制」下に入ることを容認していたとされていますが、これについての報告はありましたか。具体的にお答えください。
5. この情報を明らかにしたのは、複数の政府関係者とされていますが、どういう人物なのか、大体の予測はつきますか。明確にお答えください。
6. 自衛隊を他国の「戦術指揮統制」下に委ねることは海外での武力行使と同様、政府の憲法解釈により、禁じられている集団的自衛権の行使に直結する憲法違反だと思うのですが、防衛庁の判断はいかがでしょう。明確にお答えください。
7. 「戦術指揮統制」について、政府は「テロ特措法」の国会審議で、「直接、他国から指揮命令を受けないよう、我が国が主体的に行動する」(中谷防衛庁長官)と答弁しています。しかし今回の問題は、アメリカ軍からの指示により、我が国の自衛隊が臨機応変に動くことになり、長官答弁との整合性が問われますが、防衛庁としてはいかがお考えですか。明確なご見解をお示しください。
8. 防衛庁海上幕僚監部の派遣チームは海幕防衛班長以下、自衛隊司令部の主任幕僚らで構成されているとのことですが、具体的には何名ですか。
日米双方の会談は、後方支援を開始する1週間前の昨年11月25日、ペルシャ湾内のバーレーン基地で行われ、海幕派遣チームがムーア司令官に、「海自艦は独自に活動するのか、多国籍軍に統合されて活動するのか」と聞かれ、作戦指揮統制については「独自に活動することが必要だ」と答えたが、「戦術指揮統制」については、洋上補給を行う期間、第五艦隊53任務群司令官(後方支援担当)に委ねることは可能ではないかと考える」と応じたとのことです。
そのうえで、「ただし、戦術指揮統制を米海軍に委ねることは政治的に公言できないため、微妙な
配慮が必要だ」と付け加えたとのこと、これは明らかにシビリアンコントロール(文民統制)に対す
る憲法違反を承知の上で、本件を米海軍に委ねることにしたと判断せざるを得ませんが、これについてどう思われますか。具体的な見解をお示し下さい。
9. この問題に関して、米軍事筋は、「海自艦が洋上補給にあたり、実際に53任務群司令官の戦術指揮統制下に入っていることを認めた」とされ、さらに、「いつ何処で、どの艦に補給するか、各艦の燃料の残り具合や、位置などをグローバルに管理して割り出しており、今回の作戦では同司令官が指揮統制にあたる。同司令官が15日先までの補給日程を海自側に示し、承認を得たうえで、具体的任務に従事する間は、戦術指揮統制下に組み込んでいる」と説明しているとのことです。これについての事実関係は調査されましたか。具体的にお答え下さい。
10. 「テロ特措法」成立後、自衛は海外に出て、アメリカ軍の後方支援活動に協力していますが、これまでの「日米防衛協力のための指針」の範疇では、「日米共同調整所」を設け、たとえ周辺事態といえども、日本が共同指揮に確実に参画することを担保する仕組みを作ってきており、それは集団的自衛権行使の回避が年頭にあったからだとされています。
しかし、「テロ特措法」成立後、「共同指揮所」は設けられていない。局長級の調整を委員会の頂点とする調整枠組みはあるものの、調整委は11月以降、3回開かれただけで、現場から、「戦術指揮統制」問題が提起された形跡はないとされています。実際にはいかがでしょうか。調整委の開かれる頻度を具体的にお答えください。
11. 「テロ特措法」下の新システムにおける調整委員会の構成メンバーを詳しく教えて下さい。
できれば図面をご用意下さい。
12. これまでの経緯上、自衛隊は戦争を好んでいるのではないかと6月16日の交渉の際お尋ねしましたが、そういうことはないとのお答えでした。しかし、昨年11月の参院外交防衛委員会で航空自衛隊出身の自由党議員田村英昭氏が、「米軍の指揮下に入らなかったら、戦争にならない」と発言し、陸上自衛隊出身の中谷防衛庁長官が、「軍事行動する場合、それが常識論だ。今回は調整型で、各国それぞれ独自の支援をしている」と答えていますが、お二方とも文民の立場でありながら、自衛隊(軍人)経験者ということもあり、シビリアンコントロール(文民統制)上の問題で国民に不安を与えるという経緯がありますが、防衛庁としては、これについてどう思われますか。明確にお答えください。
13. さらに6月16日の交渉時、シビリアンコントロール(文民統制)に関する回答として、3項目を挙げて下さいましたが、先ず1点目に、「総理大臣は国会で選任され、議員内閣制の下で、国民の意思が自衛隊の統制に及ぶ仕組みになっている」とのことでした。実際、その原則が守られているならば、ぜひ、私たち国民の声を現在の自衛隊活動に反映して頂きたい。
私たちは日本が軍備を布き、戦争行為を行うことに反対です。ただいま審議中の有事法制関連3法案は日本に「有事」を呼び込むものとの認識があります。
「テロ特措法」下における米軍後方支援にしても、シビリアンコントロールの破壊に関する諸問題が次々に浮上し、支援現場におけるシビリアンコントロールの徹底が疎かにされている状況にあるといわざるを得ません。自衛隊サイドの判断で集団的自衛権の根幹に触れる行為を侵したり、軍隊が政治に介入するような事柄が頻発するようでは、日本国憲法はあってなきが如しです。シビリアンコントロール(文民統制)の徹底について、いかがお考えですか。明確にお答えください。
NO! 有事立法23区ネット
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