大田区議会から日本政府へ
「テロ根絶・アフガニスタンへの軍事行動及び、自衛隊の戦争加担」即時中止を求める
意見書提出依頼に関する陳情


日頃より大田区の平和に関わるご尽力に感謝し、改めて敬意を表します。

さて、輝かしい新世紀も二年目を迎えましたが、悲しむべきことに、昨年九月十一日のアメリカ・ニューヨークにおける同時多発テロを機に、世界は大きく変貌しました。米国のブッシュ大統領は、「これは新しい戦争だ」と世界に宣言、同盟国への協力を呼び掛け、テロ犯の拠点と見られるアフガニスタンへ大規模な軍事攻撃を開始しました。クラスター爆弾や、戦術核並みの威力を持つデイジーカッター爆弾等の強力破壊兵器が使用され、地上はもちろん、地下深く炸裂し、現地はさながら地獄絵です。まさに国際社会が長年培ってきた平和への理念も努力も、根底から覆された瞬間だといえましょう。

これらの空爆により、現地のNGO事務所はもとより、国際赤十字事務所や病院、老人施設、さらには罪のない一般市民の家屋まで破壊され、朝日新聞一月八日付け朝刊によれば、昨年十二月九日の時点で民間人の犠牲者は三七〇〇人余に上り、同月十九日現在のテロの犠牲者三二二五人を凌ぐ数字が算出されていると報じています。米国政府はこの報復行為をテロ根絶のための聖戦だと、あくまでも正義を装っていますが、テロ撲滅のために一般市民を巻き添えにしても省みないという姿勢を貫くならば、これはまぎれもなく、もう一つのテロ行為といわざるをえません。

こうした経緯の中、日本は米国政府から、「旗を見せろ」(ショウ・ザ・フラッグ)と軍事協力を求められたとの解釈に基づき、十分な議論も尽くさず、自衛隊による報復支援活動を行うとの新法を制定しました。すでに具体的な活動も開始しています。私たちは日本が犯した過去の戦争の歴史に立脚し、再びこうした禍根を近現代史の上に重ねるべきではないと心得ます。日本の執るべき方策は、アフガニスタンへの新政権樹立後、同国における復興支援策の推進及び、難民支援の人道的救援活動であり、決して米国のテロ報復行為に協力することではありません。人類が地球上における野蛮極まりないテロ行為を根絶し、平和な国際社会を樹立するためには、暴力の連鎖を断ち切る努力が肝要です。全世界の人々が感情に溺れず、人種・民族・宗教を超越した冷静な判断力のもと、それぞれの英知を結集した問題解決への取り組みを進め、テロ犯に対しては、国際法に基づく客観的な法の裁きを行うことこそ、賢明な選択ではないかと考えます。

以上に述べた理由により、大田区議会におかれましては、私たち平和を求める区民の願いをお汲み取り戴き、大田区が推進する「大田区平和都市宣言」の精神に則り、以下の要望を決議し、日本政府に対して、「地方自治法第九十九条」の規定に基づき、「意見書」を提出して戴きたく、お願い申し上げる次第でございます。

一、 日本政府は、アフガニスタンへの軍事攻撃を行っている米・英両国に対して、テロ根絶のための武力行使は根本的な問題解決には至らず、いたずらに憎しみを増すのみで逆効果になるうえ、一般市民の被害も甚大との見解を示し、一切の戦闘行為の中止を要請すること。

二、日本政府は、自衛隊による米・英両軍に対する戦争協力・後方支援を中止し、アフガニスタンにおける復興支援策の推進及び、難民・被災者支援の人道的救援活動を行うこと。

                                                                                   二〇〇二年二月二十七日

大田区議会議長 河津 章夫殿

添付資料 米連邦議会でただ一人反戦の意志表示を行ったバーバラ・リー下院議員の発言文
     空爆停止を求めるバークリー市の条約
     同市の良心的兵役拒否容認関連の法案
     最新のアフガン情報。

陳情書提出団体名 世界の平和と子どもの教育を考える大田実行委員会
代 表 者 名   伊 藤 瀧 子

呼びかけ団体名  大田ピースフォーラム
代 表 者 名  竹 内  仁
(都合により住所・連絡先は割愛)

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